自動運転車(じどううんてんしゃ)とは、人間が運転操作を行わなくとも自動で走行できる自動車。英語では「autonomous car」と表記される。その他「ロボットカー」「UGV (unmanned ground vehicle)」「ドライバーレスカー (driverless car)」「self-driving car」などとも呼ばれている。

概要

自動運転車はレーダーLIDARGPSカメラで周囲の環境を認識して、行き先を指定するだけで自律的に走行する。過去には道路に磁気マーカー(磁気ネイル)を埋め込む方式も開発されていたが、道路にマーカーを埋め込むコストがかかることや、積雪除雪の問題もあるためほとんど普及していない。そのため現在では基本的に車のセンサー主体で自動運転できる自動運転車開発が中心となっている。マーカー方式は、ガイドウェイバスとしてIMTSが過去に国内で運行していたが、現在国内では運行していない。

すでに実用化されているロボットカーとしては、イスラエル軍で運用されている、あらかじめ設定されたルートをパトロールする無人車両[1]や、海外の鉱山、建設現場などで運用されているダンプカーなどの無人運行システム等がある[2]

公道以外の限定された環境(鉱山、建設現場等)では、ロボットカーの需要が広がりつつあり、建設機械大手のコマツキャタピラー等の企業がロボットカーの販売を拡大している[3]

一方で、一般人が公道で走行できる完全な自動運転車はジュネーブ道路交通条約で常時人間の運転が必要であると定義されており[4]、法的にも規制されているため、2018年(平成30年)現在ではどこの国でも発売されていない。下記、自動運転レベル定義で、発売されているのはレベル3までで、レベル4以上の自動運転車は市販されていない。しかし、ジュネーブ道路交通条約同様に常時人間の運転が必要であると定義されていたウィーン道路交通条約(ほとんどの欧州諸国が加盟、日米は未加盟)は人間によるオーバーライドと自動運転機能のスイッチオフが可能であれば規制対象としないと2014年(平成26年)に改正された[5]。これはレベル3までは規制対象としないという事である[6]。また、国連においても国際基準の改正を含む、自動運転車実現の国際基準作りが進められている[7]

自動運転車の商品化、普及により、交通事故の減少、渋滞削減、CO2の削減が見込まれている。

自動運転の定義

日本政府や米国運輸省道路交通安全局 (NHTSA) では自動化のレベルを以下のように定義している[8][9][10][11][12]

レベル0
ドライバーが常にすべての主制御系統(加速・操舵・制動)の操作を行う。前方衝突警告(FCW)などの主制御系統を操作しない運転支援システムもレベル0に含む。
レベル1(運転支援)
加速・操舵・制動のいずれか単一をシステムが支援的に行う状態。自動ブレーキなどの安全運転支援システムによる。
レベル2(部分自動運転)
システムがドライビング環境を観測しながら、加速・操舵・制動のうち同時に複数の操作をシステムが行う状態。アダプティブクルーズコントロール(ステアリングアシスト付き)等がこれに該当する。ドライバーは常時、運転状況を監視操作する必要がある。そのため、2016年時点で市販されているシステムはある程度の時間(10~15秒等)、ハンドルから手を離しているとシステムが解除される等の仕様となっている。2016年、自動車専用道及び高速道路走行中かつ同一車線、60km/h以下のみに限定した日産プロ・パイロットを搭載したセレナが8月下旬発売と発表[13]。2017年時点でのテスラのオートパイロットもレベル2に該当する[14]
レベル3(条件付自動運転)
限定的な環境下若しくは交通状況のみ、システムが加速・操舵・制動を行い、システムが要請したときはドライバーが対応しなければならない状態。通常時はドライバーは運転から解放されるが、緊急時やシステムが扱いきれない状況下には、システムからの運転操作切り替え要請にドライバーは適切に応じる必要がある。しかし、人間のドライバーが緊急時にはスムーズに切り替えられない問題が指摘されている[15]。事故時の責任はドライバーとなる。レベル3に該当するシステムは2017年秋時点でAudiが該当機能を搭載した自動車Audi A8の市販を2018年に開始すると発表[16]
レベル4(高度自動運転)
特定の状況下のみ(例えば高速道路上のみ、又は極限環境以外(極限環境とは、雷雨、大雨、大雪、あられ、台風、極低温環境、超高温環境といったシステムの正常な動作を妨害するような環境のこと)などの決まった条件内でのみ)、加速・操舵・制動といった操作を全てシステムが行い、その条件が続く限りドライバーが全く関与しない状態。基本的にドライバーが操作をオーバーライドする必要は無いが、前述の特定の状況下を離れると人間の運転が必要になる。日本政府は2020年までにレベル4自動運転車の実用化を目標としている[17]。レベル4に該当するシステムは、上記の鉱山等で運用されている無人ダンプや無人軍事用車両等、特殊環境で運用されているもののみで、一般市民が公道を走れるものは2018年時点では市販されていない。
レベル5(完全自動運転)
無人運転。考え得る全ての状況下及び、極限環境での運転をシステムに任せる状態。ドライバーの乗車も、ドライバーの操作のオーバーライドも必要ない。安全に関わる運転操作と周辺監視をすべてシステムに委ねる。多くの自動車メーカーやその他の企業が、レベル5相当の自動運転車の市販に向けて開発を行っている[18]
日本政府はレベル5の完全自動運転を2025年を目途に目指すとしている[17]
アメリカでは、カリフォルニア州でレベル4の自動運転車を規制する法案がカリフォルニア州運輸局から提出されたが

自動運転車の開発は古くから進められていた。専用の道路上を走行する車種は1980年代には開発されていた。欧州では1987年から1995年にかけてEUREKAプロメテウス計画で開発が進められた。2004年、2005年、2007年にはDARPAグランド・チャレンジが開催され、特に2007年には市街地を模したコースが設定された。近年ではGPGPU深層学習により性能が向上しつつつある[21][22]2016年-17年のフォーミュラE人工知能を搭載した自動運転車によるRoboraceが併催予定[23]

2016年5月7日、アメリカフロリダ州にて、運転支援機能が搭載されたテスラ・モデルSが18輪トレーラーと衝突し、テスラの運転手が死亡する事故が発生した[24]。自動運転初の死亡事故と誤報されて話題となったが、このテスラに搭載されていた運転支援機能はレベル2相当であり、NHTSAがレベル4やレベル3に区分している自動運転車には該当しない。テスラのドライバーがレベル3相当の自動運転車だと勘違いしていた可能性が指摘されている[25]

2017年9月9日(2017年6月20日)、ドイツ連邦交通省(BMVI)より「自動運転車に関する倫理ルール」20項目が発表される[26]。特筆すべき点は”「避けられない事故が起きた場合、人間の年齢、性別、心身の状態などをカテゴライズして考慮することを厳しく禁じる。一般レベルでのルールとして犠牲者の数を減らすよう挙動する、というものは受け入れられる」”というより具体的な部分まで踏み込んだ点など[27]

2017年9月11日、General MotorsとCruiseは共同で自動運転車の量産体制が整ったことを史上初めて発表。あとはソフトウエアと規制問題のクリアを待つだけとのこと[28]

2017年11月9日、グーグル、自動運転の「ロボットタクシー」を公道で実験開始[29]

2018年1月13日、General Motorsは2019年にハンドルなし、ペダルなしのレベル4相当の完全自動運転車を実用化すると発表[30]

2018年3月18日、米アリゾナ州テンピで、自動運転車が歩行者をはねて死亡させる自動運転車初[31]の人身死亡事故が起き、国家運輸安全委員会が事故調査に乗り出した。配車したUberや車を製造したボルボ・カーズなどを巻き込んで法的責任の所在が議論されるも[31]、Uberが遺族に和解金を支払うこととなった[32]

2018年12月6日、Googleの兄弟会社であるWaymoが米アリゾナ州フェニックスで自動運転車配車サービス「Waymo One」を一般向けに提供開始。提供地域に住んでいればアプリを介して利用することができる。現時点ではまだ人間のドライバーが運転席にいるが、将来的には完全無人にする予定とのこと。[33]

前段階の自動運転車

以下は、2017年時点で市販されている自動運転レベル2相当のシステムについて解説する。

アダプティブクルーズコントロール(ステアリングアシスト付き)

アダプティブクルーズコントロールレーンキーピングアシストなどを組み合わせ、先行車との車間距離を一定に保って自動追従走行を行い、車線を読み取りステアリングを自動操作しある程度のカーブを曲がる事もできる。 ただし、あくまでも運転支援システムであって、常に運転の主体や責任はドライバーにある。そのため、10~15秒以上ステアリングから手を離しているとシステムが解除される等の仕様となっており、自動運転はできない。またステアリングアシストは、約65km/h以上でないと作動しない車種がある。詳細は下記、渋滞時追従支援システムを参照。

潜在的利点