クリ
Castanea crenata
受粉に成功した雌花(2008年7月5日、長野県
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類I Eurosids I
: ブナ目 Fagales
: ブナ科 Fagaceae
: クリ属 Castanea
: クリ C. crenata
学名
Castanea crenata
Siebold et Zucc.[1]
シノニム
英名
Japanese Chestnut
品種
  • ヤツブサグリ C. c. f. foemina
  • タンバグリ C. c. f. gigantea
  • ハゼグリ C. c. f. imperfecta
  • シダレグリ C. c. f. pendula
  • ハコグリ C. c. f. pleiocarpa
  • ハナグリ C. c. f. pulchella
  • トゲナシグリ C. c. f. sakyacephala
日本ぐり 生[3]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 686 kJ (164 kcal)
36.9 g
食物繊維 4.2 g
0.5 g
2.8 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
3 μg
(0%)
24 μg
チアミン (B1)
(18%)
0.21 mg
リボフラビン (B2)
(6%)
0.07 mg
ナイアシン (B3)
(7%)
1.0 mg
パントテン酸 (B5)
(21%)
1.04 mg
ビタミンB6
(21%)
0.27 mg
葉酸 (B9)
(19%)
74 μg
ビタミンC
(40%)
33 mg
ビタミンK
(1%)
1 μg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
カリウム
(9%)
420 mg
カルシウム
(2%)
23 mg
マグネシウム
(11%)
40 mg
リン
(10%)
70 mg
鉄分
(6%)
0.8 mg
亜鉛
(5%)
0.5 mg
(16%)
0.32 mg
セレン
(4%)
3 μg
他の成分
水分 58.8 g
水溶性食物繊維 0.3 g
不溶性食物繊維 3.9 g
ビオチン (B7) 3.9 µg

廃棄部位: 殻(鬼皮)及び渋皮(包丁むき)
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

クリ(栗、学名Castanea crenata)とは、ブナ科クリ属の一

クリのうち、各栽培品種原種山野に自生するものは、シバグリ(柴栗)またはヤマグリ(山栗)と呼ばれる、栽培品種はシバグリに比べて果実が大粒である。また、シバグリもごく一部では栽培される。

形態・生態

落葉高木で、高さ17m、の直径は80cm、あるいはそれ以上になる。樹皮灰色で厚く、縦に深い裂け目を生じる。

は長楕円形か長楕円状披針形、やや薄くてぱりぱりしている。表はつやがあり、裏はやや色が薄い。周囲には鋭く突き出した小さな鋸歯が並ぶ。

雌雄異花で、いずれも5月から6月に開花する。雄花状で斜めに立ち上がり、全体にクリーム色を帯びた白で、個々の花は小さいものの目を引く。また、香りが強い。非常によく昆虫が集まる。ブナ科植物は風媒花で花が地味のものが多いが、クリやシイ虫媒花となっている。一般に雌花は3個の子房を含み、受精した子房のみが肥大して果実となり、不受精のものはしいなとなる。

9月から10月頃に実が成熟すると自然にいがのある殻斗が裂開して中から堅い果実(堅果であり種子ではない)が1 - 3個ずつ現れる。果実は単に「クリ(栗)」、または「クリノミ(栗の実)」と呼ばれ、普通は他のブナ科植物の果実であるドングリとは区別される(ただし、ブナ科植物の果実の総称はドングリであり、広義にはドングリに含まれるとも言える)。また、毬状の殻斗に包まれていることからこの状態が毬果[4]と呼ばれることもあるが、中にあるクリノミ自体が種子ではなく果実であるため誤りである。

香りの主成分はメチオナールサツマイモの香りの主成分)とフラノン(他にはイチゴパイナップルに含まれている)。

分布

日本朝鮮半島南部原産。北海道西南部から本州四国九州に分布。暖帯から温帯域に分布し、特に暖帯上部に多産する場合があり、これをクリ帯という。

ただし、現在では広く栽培されているため、自然分布との境目が判りにくい場合がある。中華人民共和国東部と台湾でも栽培されている。

人間との関わり

栽培と食用

日本において、クリは縄文時代初期から食用に利用されていた。長野県上松町のお宮の裏森遺跡の竪穴式住居跡からは1万2900年前~1万2700年前のクリが出土し、乾燥用の可能性がある穴が開けられた実もあった。縄文時代のクリは静岡県沼津市の遺跡でも見つかっているほか[5]青森県三内丸山遺跡から出土したクリの実のDNA分析により[6]、縄文時代には既にクリが栽培されていたことがわかっている。

生食も可能であるが、現代においては、ほんのりとした甘さを生かして石焼きにした甘栗栗飯(栗ご飯)の具、菓子類(栗きんとんなど)の材料に広く使われている。

年間平均気温10 - 14℃、最低気温が -20℃を下回らない地方であれば栽培が可能で、日本においてはほぼ全都道府県でみられる。生産量は、茨城県熊本県愛媛県岐阜県埼玉県の順に多い。また、名産地として丹波地方(京都府大阪府兵庫県)や長野県小布施町、茨城県笠間市が知られる。これらの地域では「丹波栗」のようなブランド化や、クリを使った菓子・スウィーツ開発による高付加価値化、イベント開催による観光誘客への活用が進められている[7]

果実としての採取以外に、甘みがある栗焼酎の醸造[8]や茶飲料[9]蜂蜜を採取する蜜源植物としても利用される。

戦前に中国から持ち込まれたクリタマバチにより、昭和20年代には日本全土に存在した100種を超える品種の大半が消滅した。現在栽培されている品種は、その後育成されたクリタマバチに対する抵抗性品種である[10]。クリタマバチ被害については、1979年以降、クリタマバチの天敵であるチュウゴクオナガコバチがクリの主産地で放飼されたことにより被害が激減した。

次に問題となっているのが、クリシギゾウムシによる果実被害である。これまでは、収穫後の臭化メチルによるくん蒸を主として防除がなされていたが、臭化メチルガスは温室効果が高いため、全廃されることが決定した(2005年に全廃する予定であったが、2015年まで不可欠用途申請されて使用されていた)。臭化メチルくん蒸の代替技術としてヨウ化メチルが登録されたが、ヨウ素の逼迫による価格上昇や、臭化メチルに比べて沸点が高く扱いにくいなどの理由で、製造が中止された。代替法としては、氷蔵庫(壁面に不凍液を循環させて庫内温度を高湿度のまま一定に保つ保冷庫)によって -2℃で3週間程度貯蔵する氷蔵処理と、50℃のお湯に30分間浸漬する温湯処理が確立されている。

日本のクリはシナグリに次いでクリ胴枯病に対する抵抗性が高い。

シナグリなどと比較して、渋皮剥皮が困難であり、生食用用途では渋皮を直下の果肉とともに削り取る作業が必須である。特にこのことが近年の家庭におけるクリの需要を低下させる原因となってきた。そのような中、近年独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所において、シナグリ並に渋皮剥皮性の優れるクリ品種「ぽろたん」(2007年10月22日品種登録)が育成された[11]

日本国内の収穫量

2014年度 23,401 t [12]

日本の主なクリの産地(自治体及び旧自治体は作況調査市町村別データ長期累年一覧による)

作況調査2014年版によると、沖縄県以外の46都道府県で収穫実績あり。そのうち33都府県は収穫量100トン以上となっている。

  • 秋田県
  • 茨城県 - 国内1位。
  • 小美玉市(旧美野里町)
  • 笠間市(旧岩間町、旧友部町)
  • 茨城町
  • かすみがうら市(旧霞ヶ浦町、旧千代田町)
  • 石岡市
  • 土浦市
  • つくば市
  • 埼玉県
  • 日高市 - 全国に先駆けて『ぽろたん』を特産品化[13]
  •  東京都
  • 八王子市
  • あきる野市
  • 長野県
  • 小布施町
  • 岐阜県
  • 中津川市
  • 美濃加茂市
  • 静岡県
  • 掛川市
  • 愛知県
  • 豊田市(旧足助町)
  • 京都府
  • 綾部市 - 丹波栗の主産地。
  • 大阪府
  • 能勢町 - 銀寄発祥地[14]
  • 山口県
  • 岩国市(旧美和町)- がんね(岸根)栗の産地
  • 愛媛県 - 国内3位。
  • 大洲市
  • 伊予市(旧中山町)
  • 内子町
  • 熊本県 - 国内2位。県北部の菊鹿地方と県南東部の人吉地方に偏在する。
  • 山鹿市(旧菊鹿町、旧鹿北町) - 西日本一の生産量(市町村)
  • 山都町(旧清和村)
  • 菊池市
  • 山江村
  • 人吉市
  • 宮崎県
  • 須木村

材木としての用途

栗の木を使ったテーブル

堅くて腐りにくいことから、建物の土台鉄道線路枕木家具等の指物に使われたが、近年は資源量の不足から入手しづらくなった。成長が早く、よく燃えるので昔は薪木としても使われていた。縄文時代の建築材や燃料材はクリが大半であることが、遺跡出土の遺物から分かっている。触感は松に似ているが、松より堅く年輪もはっきりしている。楢よりは柔らかい。

伝承・言葉遊び