沿革

明治2年(1869年)7月、兵部省の兵部大丞・川村純義は、柳楢悦伊藤雋吉を兵部省御用掛とし水路事業を進めるよう命じた。明治3年(1870年)5月、両名は「第一丁卯艦」によりイギリス軍艦「シルビア号」(HMS Sylvia、750トン、150馬力)と協同測量を行った。

明治4年(1871年)7月、兵部省に海軍部が設置され、同年9月8日、海軍部に「水路局」が設けられた(兵部省海軍部内条例)。その所管事業は、水路測量、浮桶(浮標)、瀬印(立標)、灯明台(灯台)に関するものであった。

明治5年(1872年)2月28日、海軍省が設置され「海軍省水路局」となった。同年10月13日、海軍卿直轄の「水路寮」となり海軍省の外局となる。

1876年(明治9年)9月1日、再び「海軍水路局」と改称し、庶務、測量、製図、計算の四課が設置された。

1886年(明治19年)4月26日、名称を「海軍水路部」と改称し、1888年(明治21年)6月26日、「水路部条例」が定められ、名称を「水路部」と改め海軍参謀本部長に隷属となった。1897年(明治30年)4月12日、再び海軍省の機関に復帰した。

1920年(大正9年)「水路部令」(大正9年10月1日勅令第444号)が制定され、水路部の所掌事項が次のように定められた。

  • 水路の測量
  • 兵要海象の観測
  • 水路図誌、航空図誌の調整準備、保管・供給
  • 航海、航空保安に関する事項

1945年(昭和20年)の終戦により海軍省は解体し、同年11月29日に水路部は運輸省に移管され、「運輸省水路部」となった。

年譜

  • 明治2年(1869年)7月 - 柳楢悦、伊藤雋吉が水路事業担当の兵部省御用掛となる。
  • 明治3年(1870年)5月 - 「第一丁卯艦」、英艦「シルビア号」による協同測量開始。
  • 明治4年(1871年)10月21日 - 兵部省海軍部に「水路局」設置。
  • 明治5年(1872年)4月5日 - 「海軍省水路局」と改称。
    • 11月13日 - 「水路寮」と改称。
  • 1876年(明治9年)9月1日 - 「海軍水路局」と改称。
  • 1888年(明治21年)6月26日 - 「水路部」と改称し海軍参謀本部長の隷属となる。
  • 1897年(明治30年)4月12日 - 海軍大臣の隷属となる。
  • 1910年(明治43年)12月17日 - 庁舎を東京市京橋区築地4丁目1番地に移転し事務を開始[1]
  • 1923年(大正12年)9月1日夜 - 関東大震災により、築地庁舎全焼、創立以来の資料を失う。
  • 水路権頭

      • 柳楢悦 大佐:1876年8月31日 - 1886年1月29日

      水路部長

      • 柳楢悦 少将:1886年1月29日 - 1888年4月18日
      • (兼・心得)肝付兼行 大佐:1888年4月19日 - 1888年6月27日
      • 肝付兼行 大佐:1888年6月27日 -
      • 横尾道昱 大佐:1892年12月23日 -
      • 肝付兼行 大佐:1894年6月27日 - 1905年11月2日
      • 松本和 少将:1905年11月2日 -
      • 坂本一 大佐:1906年11月22日 - 1908年8月28日
      • 中尾雄 少将:1908年8月28日 - 1911年12月1日
      • 伊藤乙次郎 少将:1911年12月1日 - 1912年4月20日
      • 川島令次郎 少将:1912年4月20日 - 1913年12月1日
      • 江口麟六 少将:1913年12月1日 -
      • 上村経吉 少将:1914年12月17日 - 1915年12月13日
      • 釜屋六郎 少将:1915年12月13日 - 1916年12月1日
      • 布目満造 少将:1916年12月1日 -
      • (心得)犬塚助次郎 大佐:1920年10月1日 -
      • 犬塚助次郎 少将:1920年12月1日 -
      • 内田虎三郎 少将:1923年6月1日 -
      • 植村信男 少将:1924年12月1日 - 1925年12月1日
      • 米村末喜 少将:1925年12月1日 -
      • 植村茂夫 少将:1930年12月1日 -
      • 小野弥一 少将:1932年12月1日 -
      • 太田垣富三郎 少将:1935年11月15日 -
      • 小池四郎 少将:1937年12月1日 -
      • 小林仁 少将:1941年6月2日 -
      • 副島大助 中将:1941年11月20日 -
      • 阿部嘉輔 中将:1943年6月21日 -
        1. ^ 『官報』第8249号、明治43年12月19日。

        関連項目

        • 辞書項目

          • 小池猪一編著『図説総覧海軍史事典』国書刊行会、1985年
          • 秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年

          図書

          • 『日本水路史 1871~1971』海上保安庁水路部、1971年
          • 海軍歴史保存会編『日本海軍史』第6巻、発売:第一法規出版、1995年

          論文

          • 小林瑞穂「日本海軍水路部による国際水路会議参加と国際水路局への加盟--1919年~1940年を中心に」文学研究論集 (明治大学大学院文学研究科) 24、2005年
          • 小林瑞穂「海軍水路部による『水路要報』創刊とその役割--水路部と民間航海者の関係構築」駿大史学130、2007年3月
          • 小林瑞穂「海軍水路部における創設者・柳楢悦の顕彰--1930年柳楢悦胸像除幕式を中心に」海事史研究64、2007年
          • 菊地進一「幕末から明治初年にかけての日本近海英国海図--日本水路部創設前の海図史」海洋情報部研究報告43、2007年3月
          • 小林瑞穂「海軍水路部関係経費にみる図誌供給能力問題--1919年~1921年海軍一般会計を中心に」文学研究論集 (明治大学大学院文学研究科) 30、2008年

          外部リンク