JR logo (hokkaido).svg 留萌本線
留萌本線を走るキハ54形気動車 (北一已駅 - 秩父別駅間)
留萌本線を走るキハ54形気動車
(北一已駅 - 秩父別駅間)
基本情報
日本の旗 日本
所在地 北海道
種類 普通鉄道在来線地方交通線
起点 深川駅
終点 留萌駅
駅数 旅客駅:12駅
路線記号 A24(深川駅のみ)
路線記号については当該記事も参照
開業 1910年11月23日(深川 - 留萌間)
全通 1921年11月5日(留萌 - 増毛間)
廃止 2016年12月5日(留萌 - 増毛間)
所有者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
運営者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
(全線 第一種鉄道事業者
車両基地 旭川運転所
使用車両 使用車両の節を参照
路線諸元
路線距離 50.1 km
軌間 1,067 mm狭軌
線路数 全線単線
電化方式 全線非電化
閉塞方式 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
保安装置 ATS-SN
最高速度 95 km/h
路線図
JR Rumoi Main Line linemap.svg
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留萌本線(るもいほんせん)は、北海道空知管内深川市深川駅から(留萌管内留萌市留萌駅を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線地方交通線)である。路線距離は50.1 kmで"本線"を名乗るJR線の中では、最も短い路線である。

概要

天塩地方随一の良港として栄えた留萌港への石炭や木材、海産物等の輸送のため、北海道鉄道敷設法に規定する、予定線として建設された路線である。1910年明治43年)11月23日に深川駅 - 留萠駅間が[1][報道 1][報道 2]1921年大正10年)11月5日に留萠駅 - 増毛駅間が開業した[1][報道 3]。また、改正鉄道敷設法の別表では、日本海岸沿いに札幌駅から終点の増毛駅までの路線の計画があった。

その後、1927年昭和2年)10月25日には留萠駅 - 大椴駅[2]1928年(昭和3年)10月10日には大椴駅 - 鬼鹿駅[2]1931年(昭和6年)8月15日には鬼鹿駅 - 古丹別駅[2][新聞 1]が留萠線として延伸開業したが、これらの区間は同年10月10日に留萠線から分離し、羽幌線に編入された[新聞 2]。なお、1927年昭和2年)10月25日の羽幌線開業当初[2]、羽幌線の列車は留萠駅を発車した後、深川方面の東留萠信号場まで1.3 km 走行し、同信号場でスイッチバックして羽幌方面に北上していた。これを解消するため、1941年(昭和16年)12月9日に羽幌線の留萠駅 - 三泊駅間が新線に付け替えられ[2]、留萠駅に羽幌線用の4・5番ホームを新設した。なお、東留萠信号場 - 留萠駅間は留萠本線・羽幌線の二重戸籍区間だったが、新線敷設と共に解消され、東留萠信号場も廃止された。

開業以来、線名・駅名の表記は「留萠」、地名などは「留萌」だったが、1997年平成9年)4月1日に留萠から留萌に変更している[1][3][新聞 3]。かつては多くの駅に交換設備が設置されていたが、閉塞合理化に伴い、1984年(昭和59年)2月1日に北一己駅・藤山駅[4]1986年(昭和61年)11月1日に秩父別駅[4]・恵比島駅[4]・幌糠駅[4]・大和田駅[4]1994年(平成6年)12月に石狩沼田駅の交換設備がそれぞれ撤去された。2015年(平成27年)3月14日時点で、交換設備が存在する駅は峠下駅・留萌駅のみであり、増発は困難になっている。

2016年(平成28年)12月5日、留萌駅 - 増毛駅間が廃止された(経緯は後述)[報道 4][報道 5]。これにより、長らくJRで"本線"を名乗る最短路線であった九州旅客鉄道(JR九州)筑豊本線 (66.1km) を下回り"本線"を名乗る最短路線となった。

存廃問題

留萌駅 - 増毛駅間

2015年(平成27年)6月26日、JR北海道が発生させた一連の事故・不祥事を受け設置されたJR北海道再生推進会議が「経営安定基金運用益が会社発足時の半分以下になり、収支を合わせるため無理な経費節減を行ったことが安全を低下させる一因となった」「全方位に対してよい顔をする経営と決別しなくてはならない」「鉄道だけで交通手段の確保を論じるのではなくバスなどの交通機関と連携して総合交通体系の一翼を担う必要がある」との認識を示す『JR北海道再生のための提言書』を島田修社長に提出した[5]。なお北海道知事の高橋はるみはJR北海道再生推進会議のメンバーの一人である[6]。 翌6月27日JR北海道幹部が留萌本線沿線自治体と非公式に接触し、留萌本線の全線廃止を打診していたことが北海道新聞などにより報道された[新聞 4]。JR北海道は特に利用客の少ない留萌駅 - 増毛駅間を、2018年度までに廃止したい意向を示しており、秩父別町の神薮武町長や増毛町の堀雅志町長は廃止を容認、沼田町の金平嘉則町長は存続を求めていた[新聞 5][新聞 6]

2015年8月10日、JR北海道は留萌市および増毛町に、特に利用者が少ない留萌駅 - 増毛駅間16.7kmを2016年(平成28年)度中に廃止することを留萌市長と増毛町長に伝達した。また、JR北海道はホームページで同区間の鉄道事業廃止についてのプレスリリース内で留萌駅 - 増毛駅間の輸送密度と収支を公表。1987年(昭和62年)の480人/日から、2014年には39人/日に大幅に利用客が減少していることや、収入が700万円に対し、年間1億6,000万円の赤字が出ていることなどを挙げている[報道 3][新聞 7]

2015年8月11日、留萌市議会が留萌線検討対策会議を設置した[7]

2015年9月7日、留萌市議の鵜城雪子が留萌市議会本会議で留萌増毛間路線廃止を市が受け入れた経緯について高橋定敏市長に質疑[8]。高橋は「ある意味ではやむを得ないと判断した」と答弁した[8]

2015年11月7日、JR北海道再生推進会議による「JR北海道再生のための提言書」発表を受け、北海道知事が学者3名(公共政策、公共交通学、会計学)、交通事業者4名(鉄道1、非鉄道3)、首長4名(中核都市1、路線廃止町2、廃止想定路線町1)を構成員とする地域公共交通検討会議を設置した[9]

2015年12月9日、留萌市議会留萌線検討対策会議が市長に「留萌本線の存続に向けてスピード感を持って力強く取り組む」ことを内容とする要望書を提出[10]。同日、同会議が「安心して住み続けられる地域の公共交通としての鉄道交通網の確立を求める」ことを内容とする要望者を、JR北海道常務山口力に提出した[10]

2016年(平成28年)2月17日会計検査院は「経営安定基金運用収益への依存度が高いJR北海道及びJR四国では、景気の後退等の外部的な要因の影響を受けている状況が見受けられた」と指摘した上で、「輸送密度が低迷している線区等の経営状況を提示できるように整理しておくこと」「多額な経営安定基金資産の時価評価差額については、修繕や設備投資を計画的に行うための財源とする」など、廃止路線議論環境の整備と基金取り崩しを財源とする設備投資を求める「北海道、四国、九州各旅客鉄道株式会社の経営状況等についての報告書(会計検査院法第30条の2に基づく国会及び内閣への随時報告)を公表した[11][12]

2016年4月8日、JR北海道は留萌駅 - 増毛駅間の最終運行日を「2016年12月4日」とする意向を増毛町に提案し、増毛町は「生徒はすべてバス通学となり、まちの過疎化で利用者は激減し、鉄道は地域の足としての機能を失った」、「観光には大きな痛手だが受けざるを得ない」としてそれを受け入れた[新聞 8]。同月18日には留萌市も「極度に利用の少ない路線で安全性を保つのは厳しい」として廃止に同意した[新聞 9]。同月28日、JR北海道は留萌駅 - 増毛駅間の鉄道事業廃止届を国土交通省に提出した[報道 6][報道 7][新聞 10]。この届け出では、廃止予定日は届出書提出日の1年後に当たる「2017年4月29日」とされたが[報道 6][報道 7]、同年6月9日に行った北海道運輸局による聴取の結果、廃止予定日の繰り上げが認められたため[報道 8][新聞 11]、同年6月28日に改めて廃止予定日繰上げの届け出が行われ[報道 4][報道 5]、予定通り2016年12月4日が最終運行日となり、翌5日が廃止日となることが決定した[報道 4][報道 5][新聞 12]

留萌駅 - 増毛駅間の廃止に向けて、2016年(平成28年)6月10日からは留萌駅 - 増毛駅間の記念入場券(硬券)・記念乗車券(常備券)が深川駅・留萌駅で発売されたほか[報道 9]、同年11月3日 - 11月20日の土曜・日曜・祝日(2両編成)と11月23日 - 12月4日の毎日(3両編成)、旭川駅 - 増毛駅間と留萌駅 - 増毛駅間にそれぞれ1往復ずつ臨時列車が設定された。停車駅は旭川駅・深川駅・留萌駅・増毛駅である[報道 10][新聞 13][新聞 14]

留萌駅 - 増毛駅間の廃止方針が打ち出される直前の2015年(平成27年)10月から、同区間の無人駅で「駅名標広告」や「きっぷ運賃表」複数が盗まれるなどの被害が発生[新聞 15]。さらに2016年(平成28年)5月17日には留萌駅構内に停車中の回送列車から運賃表示を行う系統設定器、車内放送を記録している音声合成装置、それを流すための自動放送装置操作盤が盗まれた[新聞 16]。これを受けて、留萌警察署は同年11月11日から同署の管轄区域である峠下駅 - 留萌駅 - 増毛駅間の各駅に啓発ポスターを設置した[新聞 17]

深川駅 - 留萌駅間

深川駅 - 留萌駅間について、留萌市は2016年(平成28年)4月18日時点で「(存続する)留萌 - 深川間の沿線自治体と意見交換し、JRの利用頻度を高めたい」とし、存続に向け努力する考えを強調していた[新聞 9]が、わずか半年後の2016年(平成28年)10月25日にJR北海道が廃止およびバス転換を検討していることが北海道新聞にて報道された[新聞 18]。これについてはJR北海道が同年11月16日の記者会見で正式に認めた[報道 11]

2016年7月29日、JR北海道が駅廃止や列車見直しによる経費節減、運賃値上げによる応分負担、上下分離方針の導入などを検討内容とする『「持続可能な交通体系のあり方」について』を公表し[13]、地方路線の整理廃止を加速させる意向を表明。安全問題研究会の黒鉄好は、雑誌『北海道経済』で「JR北海道沈みゆくタイタニック号で沈没を止めることはもはや不可能」「大切なのは路線廃止の言質を与えず、公共交通の維持という使命を放棄したJR北海道の沈没を辛抱強く待つこと」「北海道民は何も悪くない。すべての責任は民営化を強行、東京駅より少ない収入しか上げられないような会社を作り放置し続けた政府にある」と批判した[14]。また黒鉄は雑誌『地域と労働運動』で「JR北海道の経営はすでに破綻状態であり、単に廃止反対を訴えるだけではもはやいかなる説得力も持ち得ない」と述べたうえで、北海道特有の鉄道事情を示し、拙速な鉄道廃止論を批判した[15]

同日、高橋はるみ知事はJR北海道の記者会見を受け「見込まれる巨額の経常赤字を線区の見直しだけで解消しようとすれば、本道の公共交通ネットワークにあまりにも大きな影響を及ぼす」「自助努力のみで経営の再生を図っていくことは困難で、国に対し早急に必要な要請を行うとともに、地域公共交通検討会議において本道の交通ネットワークのあり方について検討を加速する」などとコメントしたが、路線名を示す形で「路線廃止に反対」の言葉を発することは無かった[16]

2016年8月2日民進党北海道総支部連合会は「民進党北海道JR北海道路線維持対策本部」(本部長荒井聰)を8月3日に設置することを決定[17]。同日、道議会民進党は「道議会民進党JR北海道路線維持対策プロジェクトチーム(三津丈夫座長)」を設置した[18]

2016年9月21日留萌市議会が「税制特例措置の適用延長は必須」との意見を付した「JR北海道・JR四国・JR貨物に係る税制特例の恒久化等を求める意見書」を可決。[19][20]

2016年10月24日、民進党北海道JR北海道路線維持対策本部が、JR北海道・北海道運輸局・北海道に対し要請行動を実施し、要請書を手渡した[21][22][23]

2016年10月28日、北海道知事が定例記者会見で地域公共交通検討会議の下に鉄道ネットワークワーキングチームを設置すると発表[24][25]。知事がJR北海道に対して「一連の報道で地域に不安が広がっていることは大変遺憾、地域の不信を招かないよう慎重に対応していただきたい」との申し入れを行ったと説明した[24]。しかし「JR北海道の事業範囲の見直しということについては、そういうこともあり得るかなという思いもある」とも発言し、路線廃止に一定の理解を示した[24]。また知事は、「ワーキングチームは個別の路線の話などにまで踏み込んだものを想定しているのか」との日本経済新聞記者の質問に、知事は「性格上難しいと思う」と述べ、鉄道ネットワークワーキングチームが路線名を示して路線廃止反対を求めることは困難との認識を示した[24]

2016年11月18日、JR北海道は「当社では維持することが困難な線区について」など路線廃止関連文書を発表。小樽駅-札幌駅-旭川駅間、室蘭駅-東室蘭駅間、長万部駅-苫小牧駅-札幌駅間、南千歳駅-新千歳空港駅間、南千歳駅-帯広駅間、桑園駅-北海道医療大学駅間、北海道高速鉄道関連線区、北海道新幹線を除く全路線 (1237.2km) が「単独では維持不可能な線区」であり、深川 - 留萌間は「極端にご利用が少ない線区」との認識を示した。これにより留萌本線各駅を含む道南・道東・道北の大半の駅が、将来的に廃止となる可能性がある駅となった[26][27][28]

同日、高橋はるみ知事はJR北海道の記者会見を受け、「道内鉄道網全体の5割を超える線区が対象となっており、その進め方如何では、本道の公共交通ネットワークに重大な影響を及ぼす可能性があり、大きな危機感を持って受け止めています」と述べた。しかし「バス等への転換を前提として相談を行う考えが示された3線区については、これまで沿線自治体の方々から寄せられているご意見などを十分踏まえながら、慎重かつ真摯な対話を行うことが不可欠です」とコメントし、留萌本線廃止容認に含みをもたせる認識を示した[29]

2016年11月19日、北海道新聞社が社説「もはやJRに任せられぬ/13区間千キロ超 15年後は半減か」を掲載。「廃線で地方の衰退が加速するのは確か。こうした状況を打開するにはまちづくりの視点で鉄道をとらえ直すしかない。87年の国鉄分割民営化時から北海道で1社が単独で営むことに無理があるとの指摘はあった」と道政と政府の課題を指摘した[新聞 19]

路線データ

全線が旭川支社の管轄である。

利用状況

輸送密度

留萌本線の年度別の輸送密度は以下の通り。

国鉄分割民営化直後の1987年(昭和62年)度は435人であったが[報道 3][新聞 20]2014年(平成26年)度には142人と当時の3分の1弱まで激減している[報道 3][新聞 4]。特に留萌駅 - 増毛駅間については、廃止直前の2014年(平成26年)度・2015年(平成27年)度にJR北海道各路線で最低を記録している。

近年、沿線の過疎化が進行しているほか、並行して高規格幹線道路である深川留萌自動車道の整備が進んでおり、今後も当路線の利用の減少が続くと見込まれている[新聞 20]

年度 輸送密度(人/キロ/日)
全線 深川駅 - 留萌駅間 留萌駅 - 増毛駅間
1975年(昭和50年)度[報道 3][報道 12]   2,245 1,199
1980年(昭和55年)度[報道 3]     855
1985年(昭和60年)度[報道 3]     592
1987年(昭和62年)度[報道 3][新聞 20] 435   480
2003年(平成15年)度 212    
2004年(平成16年)度 212    
2005年(平成17年)度 202    
2006年(平成18年)度 187    
2007年(平成19年)度 183    
2012年(平成24年)度[報道 13][新聞 20] 162    
2013年(平成25年)度[報道 13] 149    
2014年(平成26年)度[報道 14][報道 15] 142 177 39
2015年(平成27年)度[報道 16][報道 17]   183 67
2016年(平成28年)度[報道 18]   188 134

区間ごとの収支(営業収益、営業費用、営業損益)と営業係数は以下の通り。いずれも管理費を含めた金額である。▲はマイナスを意味する。

2014年(平成26年)度の留萌駅 - 増毛駅間の営業係数は4,554(管理費を除くと4,161)であり[報道 15][新聞 21]、これはかつて「日本一の赤字線」と呼ばれた美幸線の1974年(昭和49年)度の営業係数(3,859)をも凌ぐ数字である[新聞 22]

深川駅 - 留萌駅間
年度 収支(百万円) 営業
係数
(円)
備考
営業
収益
営業
費用
営業
損益
2014年(平成26年)度[報道 15] 46 693 ▲647 1,508
2015年(平成27年)度[報道 17] 55 738 ▲683 1,342
2016年(平成28年)度[報道 19][注釈 1] 76 747 ▲671 987 留萌駅 - 増毛駅間廃止に関連した利用の増加が発生
留萌駅 - 増毛駅間
年度 収支(百万円) 営業
係数
(円)
備考
営業
収益
営業
費用
営業
損益
2014年(平成26年)度[報道 15] 5 232 ▲227 4,554
2015年(平成27年)度[報道 17] 7 184 ▲177 2,538
2016年(平成28年)度[報道 19][注釈 1] 20 142 ▲122 715 営業最終年度

歴史

国鉄時代