様々なタイプの電子記憶媒体
市販の記録メディア

電子媒体(でんしばいたい)は、映像機器音響機器での映像音楽の記録再生や、電子計算機(コンピュータ)での情報処理に使用する記録媒体の総称。コンピュータで扱う情報については、記録内容は全てデジタルデータである、という特徴がある一方、映像機器音響機器においては、アナログ方式で記録再生されるものもある。かつては磁気テープビデオテープコンパクトカセットなど)が主流であったが、近年はハードディスクドライブなど、ディスク形状のものが主流になりつつある、と認識している者がいるようだが、1956年にen:IBM 305 RAMACが誕生して以来、ディスクも同様に主流として使われており、パソコンしか知らない一般消費者にありがちな誤謬である。

また、CD-ROMDVD-ROMBD-ROMなどは、全く物理的(機械的)に作られており、「電子」メディアと言うには無理がある。また「電子媒体」という語は電子書籍など、「オンラインの伝達メディア」といった意味に使われることも多く、正確には、電子媒体という記事名が変で、記事名として記録メディアないしデータメディアとした方が良い

種類

電子、磁気(電磁気)、光、光磁気、半導体、などの技術や工学が使われている。いくつかの例を挙げる。

  • 磁気テープポリエステルなどの樹脂で作られたテープに磁性体を塗布して、映像音楽コンピュータプログラムデータなどを磁気記録するもの。ランダムアクセス性能に劣るという欠点がある。
  • 磁気ディスク
    • ハードディスクドライブ (HDD):アルミニウム(過去にガラスのものもあった)の円盤に磁性体を塗布して、映像音楽コンピュータプログラムデータなどを磁気記録するもの。きわめて大量のデータを保存することができ、2009年現在の最大容量は3.5インチサイズの単一HDDで2テラバイトに達している。容量当たりの単価が安価であり、アクセススピードにも優れていることからパーソナルコンピュータサーバなどのコンピュータに広く使われているほか、最新鋭のデジタルAV機器には、標準で搭載されている製品が多い。信頼性が比較的低いという欠点があり、業務用機器ではRAIDなどで危険分散をはかっている。
    • フロッピーディスク(FD):薄いポリエステル円盤に磁性体を塗布して、データを磁気記録するもの。フラッシュメモリや記録型光ディスクに置き換えられつつある。
  • 光ディスク
    • コンパクトディスク (CD)
      • CD-DA:コンパクトディスクにデジタル音声データを収める規格。
      • CD-ROM:CDに音声データだけではなく、様々なコンテンツを収録出来るようにしたもの。読み出し専用。
      • CD-R:ユーザが内容を書き込む事が出来るCD。いったん書き込んだ内容そのものは、基本的には変更できないライトワンスタイプ。ファイナライズ処理をする事で、上記のCD-ROMとなるため、多くの機器での読み出しが可能になる。
      • CD-RW:ユーザが内容を書き込む事が出来るCD。CD-Rと違い、書き込んだ内容を変更したり、フォーマットして消去できる。
    • DVD(デジタルバーサタイルディスク)
      • DVD-Video:DVDに映像、音声、字幕などを収める規格。
      • DVD-ROM:DVDに動画データだけではなく、様々なコンテンツを収録出来るようにしたもの。読み出し専用。
      • DVD-R:ユーザが内容を書き込む事が出来るDVD。いったん書き込んだ内容そのものは、基本的には変更できないライトワンスタイプ。DVD+Rは、規格が異なるが同様のメディアである。いずれも、ファイナライズ処理をする事で、上記のDVD-ROMとなるため、多くの機器での読み出しが可能になる。
      • DVD-RW:ユーザが内容を書き込む事が出来るDVD。DVD-Rと違い、書き込んだ内容を変更したり、フォーマットして消去できる。DVD+RWは、規格が異なるが同様のメディアである。
      • DVD-RAM:ユーザが内容を書き込む事が出来るDVD。DVD-RWと違い、ランダムアクセスを重視し、書き換え可能回数(書き換え寿命)も長い。また、書き換えに専用のアプリケーションを必要としない事が多い(ただし、デバイスドライバの組み込みは必要な事が多い)。
    • Blu-ray Disc(ブルーレイディスク、BD):大きさについては、CDDVDと同じであるが、ディスクの多層化により200GB程度の大容量化が可能となった。主に高精細度テレビジョン放送動画データの保存に使用される。CD、DVDと同様に書き込み可能な規格も策定されている (BD-R, BD-RE)。
    • レーザーディスク(LD):直径30センチの両面書き込み可能なディスクで、最大2時間の映像を記録することが可能である。しかし、一般家庭での書き込みが不能で読み取り専用、材料の劣化が早い、などの問題点が多く、2007年3月にディスクの製造は終了した。
  • 光磁気ディスク (MO):耐久性にすぐれ、寿命が非常に長い記録技術。書き換えに専用のアプリケーションを必要としない事が多い。
    • ミニディスク (MD):ソニーが開発した小型の光磁気ディスクで、ATRAC方式で記録再生される。音楽録音用メディアとして日本では広く普及しているが、海外ではあまり使われない。データ記録に使われることもある(MD DATA)。
  • フラッシュメモリ
    • フラッシュディスク (SSD:Solid State Drive):入出力をハードディスクドライブと同等の規格(シリアルATAなど)にしたフラッシュメモリで、コンピュータの起動ディスクとして使用可能な記録媒体。駆動部がないためシーク時間がきわめて短く、高速なランダムアクセスができる。HDDに比べ消費電力が低く、振動や衝撃には格段に耐久性があるため、ノートパソコンなどの携帯機器では記録媒体として期待されている。
    • メモリーカード:薄型でカードのような外見をもつ。デジタルカメラ携帯電話でよく使われている。メモリーカードを使うタイプのカムコーダデジタルオーディオプレーヤーもある。
    • 各種類の媒体の、技術的工学的特性、例えば容量や記録密度やレイテンシやスループット、さらには経済性(コストパフォーマンス)などにより、適した用途がある。いくつかの例について述べる。

      磁気テープ
      大容量のデータを安価に記録出来、かつ耐久性に優れているがランダムアクセスは出来ないため、大量の情報を記録する必要があるが頻繁には利用されない場合(企業における情報のバックアップなど)に用いられる。
      アナログデータにも対応でき、データ容量の増加もテープ長を増やすという物理的対処で済んだため光学的記録媒体が進化するまではコストパフォーマンスの点で他の記録媒体よりも有利であった。
      コンシューマー用途としては、FDが普及する以前に、コンパクトカセットコンピュータのデータ記録メディアとして活用されていた時代があった。コンパクトカセットについては、音楽録音用途では、現在でも広く用いられている。
      FD
      出現当初は、ドライブ機器が高価であったため普及していなかったが、PCの普及に伴い価格が下がり、急激に普及した。
      8インチ、5インチ、3.5インチ等の種類があり、片面/両面記録や記録密度で更に区分された。
      磁気テープと異なり、記録できる情報は少ないがランダムアクセスが可能である、という利点がある。一般的に、FDは1枚あたり1.2~1.4MBが記録可能である(両面HDフォーマットの場合)。
      2000年代に入ると容量の少なさから徐々に使われなくなり、現在は各社が生産を中止するなど衰退傾向にある。
      CD-ROM
      FDと同様にランダムアクセスが可能で、生産性に優れていることから、ソフトウェアの販売パッケージは、ほとんどがCD-ROMに取ってかわられた。
      現在使われているコンピュータシステムにおいて、CD-ROMを扱えないものはほとんどない。
      CD-R
      いったん書き込みを確定すると、後から上書きや改変が出来ないという特性があり、重要書類などの記録に用いられる事も少なくない。
      また媒体価格が安価であるため、個人でPC内容をバックアップしたり、個人が少部数を電子出版したりする際にも、よく用いられる。
      記録容量はCD-ROMと同じである。
      CD-RW
      CD-Rと違って、何度か書き換える事が出来るが、約1000回程度の書き換えで媒体寿命を迎える。
      記録容量はCD-ROMと同じである。
      DVD-ROM
      CD-ROMとほぼ同じ使い勝手でありながら、CD-ROMの6倍強の約4.7GBの大容量データを記録出来る。
      DVD-R
      CD-Rと同様に、いったん書き込みを確定すると、後から上書きや改変が出来ない。
      記録容量は種類により異なるが、DVD-ROMとほぼ同じと考えて良い。
      DVD-RW
      DVD-Rと違って、何度でも書き換える事が出来るが、約1000回程度の書き換えで媒体寿命を迎える。
      記録容量は種類により異なるが、DVD-ROMとほぼ同じと考えて良い。
      DVD-RAM
      FDと同じような使い勝手でPC上のファイルを書き込んだり、専用のDVDレコーダーを用いて動画・音声を記録するのに用いる。
      10万回の書き換えに耐えるとされる。また、他の書き換え媒体と異なり、両面媒体が存在する。
      記録容量は種類により異なるが、片面当たりはDVD-ROMとほぼ同じと考えて良い。
      BD
      ホームシアターなどの映像フォーマットでの使用が主である。
      LD
      主に映像を記録するディスクで、その用途はほとんどDVDと変わりない。但し、家庭で録画することができない点がDVDと異なる。他に、レーザーディスクカラオケ等に利用されていた。
      光磁気ディスク (MO)
      FDと同じような使い勝手でPC上のファイルを保存するのに用いる。
      1000万回の書き換えに耐えるとされる。また、カートリッジに保護されることで傷、埃にも強い。その耐久性を生かし、主に長期保存に用いられる。
      128MBから2.3GBまで6種類の記録容量が用意されており、用途に合わせて選べる。将来的には5GBも用意される予定になっている。
      メモリーカード
      半導体メモリー(フラッシュメモリ)を使うため、可動部がなく一般的には低消費電力である。しかし、ビットあたりの単価が高価。
      比較的小容量でよいデジタルカメラ携帯電話のデータメディアとして、普及している。
      高価でも受入れられる業務用の分野では

      テープタイプ