典型的な7セグメントLEDディスプレイ部品。小数点付き

7セグメントディスプレイ (seven-segment display) は、電子的な表示装置の一種であり、十進アラビア数字を表示することができる。アラビア数字一文字を表現するために、それぞれ個別に点灯・消灯できる7つのセグメントから構成されているためこの名がある。

コンセプトと外観

7セグメントディスプレイの個々のセグメントの配置

名前が示すとおり、7つの部分(セグメント)から構成されている。個々の部分が点灯したり消えたりすることで、アラビア数字を表現する。セグメントは横1セグメント、縦2セグメントの長方形を構成しており、残る1セグメントがその長方形の中央を横切っている。全てではないが、ほとんどのものが斜体(イタリック)となるように配置されており、読みやすくなっている。

679 にはそれぞれ複数の字形がある。上図のように各セグメントをAからGで表すと、例えば "6" ではA、"7" ではF、"9" ではDが点灯する場合と消灯する場合がある。0にも複数の字形があり、ほとんどの場合はABCDEFの点灯で表すが、初期のカシオ社の電卓や一部のデジタルカメラではCDEGの点灯で表現している。なお、DP小数点を表す8番目のセグメントであり、整数以外を表示するときに使われる。

7セグメントLEDディスプレイで16進数の数字を順に表示する様子。"6"のA・"9"のDが点灯し、"7"のFが消灯する場合である。

他にも、14セグメントディスプレイや16セグメントディスプレイが存在し、英数字をより分かり易く表示することができる。しかしその多くは、後年に出現したドットマトリクス・ディスプレイに取って代わられた。 一方、7セグメントディスプレイは、単に数値を表示するだけで事足りる用途、例えばデジタル時計家電計測機器の数字表示部などで、廃れることなく使われ続けている。

左図のアニメーションは、0から9までの数字と6種類の16進数表示用の文字 (A-F) の典型的な字形を順に表示させたものである。AからFまでの文字は大文字だったり小文字だったりするが、これは明確にそれぞれの字形を区別するための工夫である。

7個というセグメント数は、アラビア数字のそれぞれの字形を明確に区別できる最小のセグメント数である。インターネット上で7セグメントよりも少ないセグメント数で数字を表す方式を公開していることがあるが[1]、その多くは曲線などを用いたセグメント形状であり、また字形を明確に区別できるとは言い難い場合もある。

実装

白熱フィラメント方式の初期の7セグメントディスプレイ
自動車燃料の値段を表示しているガソリンスタンドの看板

多くの一桁の7セグメントディスプレイは発光ダイオード (LED) を使用しているが、他の技術を使ったものもある。冷陰極放電灯、蛍光表示管、白熱フィラメント液晶ディスプレイ (LCD) などがその例である。ガソリンスタンドで値段を表示する看板では、マグサイン(英語ではvane display、なおドットマトリクス式で同様の原理のものはflip-disc displayと言う)と呼ばれる色付きの板を組み合わせて7セグメント表示していることがある。1970年、RCANumitronの商品名で白熱フィラメントを使った7セグメント表示管を発売した[2]。なお、7セグメントディスプレイが登場する以前、及びそれ以降でも可読性の良さゆえに、個々の数字の形をした電極をもつ、ニキシー管という冷陰極放電管が、数字の表示に使われていた。

よく知られている初期の7セグメントディスプレイの例としては、1960年代後半から70年代初頭のアポロ計画で使用されたアポロ誘導コンピュータのDSKYがある。この7セグメントディスプレイはELを使用していた。DSKYのほか船内の時計などにも使用されていた。

LEDのセグメントは物理的に形成されるため、その形状に制約のあることから、7セグメントディスプレイの概念と親和性が高く、これが結果的に表示手法(いわゆるデジタル数字)としても一般に広く普及することとなった。またLEDの場合、端子数を減らすためアノード(陽極)、カソード(陰極)のいずれかを一つにまとめてあり、それぞれアノードコモンカソードコモンと言う。従って、小数点付きの1桁の7セグメントディスプレイ部品には9本の端子がある。

7セグメントディスプレイの中には、複数桁の表示ができるように表示ユニットが集積されたものもある。そのような複数桁のディスプレイは、内部にデコーダを持っている場合もあるが、ほとんどの例では個々のLEDに対応するピンが出ていた。ポケット電卓などの機器で使われていた複数桁のLEDディスプレイはピン数と表示を制御するIC数を減らすためマルチプレクサを装備している。すなわち、各桁の同じ位置のセグメントは全て1つの端子からの入力で駆動されるようになっていて、どの桁をその時点で駆動するかを別の選択制御信号で指示する。こうすることで、アノードドライバーとカソードドライバーはそれぞれ8個で済む。

7セグメントディスプレイの特許は、早いもので1908年に出願されたものがある[3]。しかし、実際に世に広く使われるようになったのは、LEDやLCDが一般化した1970年代からである。電子的手段によらずに7セグメントディスプレイのような書体を看板などで使うことがあり、デジタル数字などと呼ぶ。

LCDは印刷のような手法で製造されるため、LEDと異なってセグメントの形状も自由に成型することが可能である。一方、LEDセグメントは単純な形にしか成形できず、LCDほどの自由さはない。しかし判読のしやすさから、電卓時計などの表示には現在でも7セグメントディスプレイ・もしくは7セグメントディスプレイを模した書体がよく使われる。

数字以外の文字の表示

10種類の数字に加えて、7セグメントディスプレイでもいくつかのラテン文字を表示できる。大文字、A, B, C, E, F, G, H, I, J, L, N, O, P, S, U, Y, Zが表示できる。小文字は、a, b, c, d, e, g, h, i, l, n, o, q, r, t, uが表示できる。しかし、中には判別の難しいものや、全く同形で判別不能のものもある。(注: "8" と "B" ・ "2" と "Z" ・ "6" と "G" ・ "5" と "S" は、そのままでは判別できない)。

ラテン文字を多少変形することで、7セグメントで全ての文字を判別可能にしたものもある。下に一例を示す。

7セグメントディスプレイによるラテン文字

例えば、Sは5との区別のため、形が変えられていることが見て取れる。実際7セグメントディスプレイは各セグメントの点灯と消灯の全ての組合せが128通りあるため、字形が原型を留めないことを気にしなければ、キリル文字ギリシア文字約物も全て表示可能である。ただし常に直観的に読むことはできない。

CDプレイヤーなどで "no disc" のような短いメッセージを7セグメントディスプレイで表示するといった使用法がある。

関連する話としては、電卓の表示を逆さにしてみるとアルファベットの言葉が読み取れる数字の組み合わせがあることは、よく知られている(例: 993→EGG、又は663→Egg。07734→hELLO→Helloなど)。これを英語で "calculator spelling" と呼ぶ。

数から7セグメントコードへの変換

7セグメントディスプレイの全状態は 1バイト で符号化できる。一般的には(上の図のA-Gを) "GFEDCBA" または "ABCDEFG" のように並べ、0 を消灯(off)、1 を点灯(on)とする。

0から9までの数字を7セグメントディスプレイで表示する場合、次のような真理値表(のようなもの)からデコーダ回路を作ることになる(実際には専用のデコーダICがある)。ただし、"6"のAと"9"のDは点灯(on)、"7"のFは消灯(off)とする。

入力する数(二進) GFEDCBA ABCDEFG a b c d e f g
0 0×3F 0×7E on on on on on on off
1 0×06 0×30 off on on off off off off
2 0×5B 0×6D on on off on on off on
3 0×4F 0×79 on on on on off off on
4 0×66 0×33 off on on off off on on
5 0×6D 0×5B on off on on off on on
6 0×7D 0×5F on off on on on on on
7 0×07 0×70 on on on off off off off
8 0×7F 0×7F on on on on on on on
9 0×6F 0×7B on on on on off on on
A 0×77 0×77 on on on off on on on
b 0×7C 0×1F off off on on on on on
C 0×39 0×4E on off off on on on off
d 0×5E 0×3D off on on on on off on
E 0×79 0×4F on off off on on on on
F 0×71 0×47 on off off off on on on

14セグメントディスプレイ

14セグメントLCDディスプレイ(1980年代のプログラム可能電卓HP-41
14セグメントディスプレイのセグメント形状。16セグメントと比べると、上と下の横棒が2つに分かれていない点が異なる。
アラビア数字ラテン文字を16セグメントディスプレイで順に表示

14セグメントディスプレイは7セグメントディスプレイのセグメント数を14個に増やし、ラテン文字なども確実に表示できるようにしたものである。7セグメントディスプレイは数字を表示するのには十分だが、ラテン文字を表示させようとすると判別が困難な文字が出てくる[4]。14セグメントで7セグメントから追加されているセグメントは対角線上の4セグメントと中央を縦に通る2セグメントで、さらに中央を横に通るセグメントが2つに分割されている。16セグメントディスプレイでは、さらに上と下の水平なセグメントがそれぞれ2つに分割されている。

また、通常の7セグメントの中央に縦棒を追加した9セグメントディスプレイも存在し、通常は数字の「1」を中央に表示するレイアウトだが、タイメックスの腕時計や、バリー・ミッドウェイ製ピンボールのスコア表示では、英文字を表示するのに使用された。

LEDLCD蛍光表示管を使ったものなどがある。

用途

ドットマトリクス型のディスプレイに比べると部品が少なくて済み、各セグメントが適切な形状ならドットマトリクスよりも読みやすい字形になる。そのため消費電力や駆動用回路規模が小さくなるという利点がある。古くは1970年代末期に製造されたTI社の英語学習玩具 "Speak & Spell" や、CRAIG社の電子翻訳機 "M100" などで使用された。

16セグメントディスプレイは元々は英数字(ラテン文字とアラビア数字)を表示するよう設計されたものだが、タイ文字の数字[5]ペルシア文字[6]を表示するのにも使われている。

14セグメントのプラズマディスプレイが1986年から1991年ごろのピンボール台に使われていた。コンマピリオドを表示するセグメントもあり、全体で16セグメントになっていた。他に電話機のナンバーディスプレイ部分、VTRカーステレオ電子レンジスロットマシン、DVDプレイヤー、エレベーターのインジケータなどにも使っていることがある。

脚注・出典

  1. ^ Entry dated January 21, 2008. The House of Cy Reb, Jr.
  2. ^ Numitron Readout
  3. ^ アメリカ合衆国特許第974,943号、F.W. Wood のその特許では「4」を表示するのに対角線上のセグメントを使っており、正確には8セグメントディスプレイになっている
  4. ^ Richard C. Dorf (ed.) The Electrical Engineering Handbook, CRC Press, Boca Raton, 1993, ISBN 0-8493-0185-8 page 1770
  5. ^ [1] Standard sixteen segmented display for Thai numerals IEEE Transactions on Consumer Electronics, Volume 35 Issue 4 1989
  6. ^ [2] Alphanumeric Persian characters using standard 16-segment displays, IEEE Transactions on Consumer Electronics Volume 37 No. 1, 1991

関連項目

外部リンク