アメリカ合衆国ドル
United States Dollar(英語)
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米ドル紙幣
ISO 4217
コード
USD
中央銀行 連邦準備制度
 ウェブサイト www.federalreserve.gov
公式
使用国・地域

アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国

非公式使用
国・地域
インフレ率 2.9%
 情報源 The World Factbook(2007年)
ペッグしている
通貨
補助単位
 1/10 ダイム
 1/100 セント
 1/1000 ミル
通貨記号 $ もしくは US$
セント ¢ もしくは c
ミル
硬貨
 広く流通 1¢, 5¢, 10¢, 25¢
 流通は稀 50¢, $1
紙幣
 広く流通 $1, $5, $10, $20, $50, $100
 流通は稀 $2, $500, $1000, $5000, $10000
紙幣製造 製版印刷局
 ウェブサイト www.moneyfactory.gov
硬貨鋳造 合衆国造幣局
 ウェブサイト www.usmint.gov

アメリカ合衆国ドル(アメリカがっしゅうこくドル、英語: United States Dollar)は、アメリカ合衆国の公式通貨である。通称としてUSドル米ドルアメリカ・ドルなどが使われる。アメリカ以外のいくつかの国や地域で公式の通貨として採用されているほか、その信頼性から、国際決済通貨や基軸通貨として、世界で最も多く利用されている通貨である。

通貨単位の呼称としての「ドル」は、カナダドル香港ドルシンガポールドルオーストラリア・ドルニュージーランド・ドルジンバブエ・ドルなどようにいくつかの国や地域で用いられている呼称であるが、単に「ドル」と言った場合は『アメリカ合衆国ドル』を指す。

概要

アメリカ合衆国ドルは、その信頼性からしばしばアメリカ合衆国の国外でも使われ、特に輸出入など国際的な商取引の決済に多く使用されている基軸通貨である。

アメリカ合衆国ドルの記号は、ドル記号 ($) である。ISO 4217では、アメリカ合衆国ドルのコードはUSDである。1ドルは、100セントである。

現在は、貴金属等との兌換制度は無く、中央銀行である連邦準備制度が発行を管理する管理通貨制度のもとにある。1971年のニクソン・ショックまでは金本位制が続けられていた。1792年の貨幣法(Coinage Act of 1792)以来金銀複本位制であったが、1873年(Coinage Act of 1873)には完全に金銀複本位制が破棄され金本位制となり、1900年には法令で金本位制として1ドル=金20.67グラムが規定された。ただし兌換比率は歴史的に大きく変動している。

第二次世界大戦後しばらくは、主要通貨で唯一の金本位制を維持していた通貨であり、各国の通貨は米ドルとの固定レートにより、1ドル=金35グラム(1トロイオンス)として間接的にとの兌換性を維持していた(ブレトン・ウッズ体制)。その当時に形成された米ドルを基軸通貨とする体制は、金本位制停止および変動相場制導入の後も継続されている。

発行と印刷

先述のとおりアメリカ合衆国ドル紙幣の発券管理は連邦準備制度が集中的に行っているが、法令上、個々の紙幣はアメリカ国内に12行ある連邦準備銀行が個々に発行している。

紙幣製造は製版印刷局合衆国造幣局によって行われ、1日あたり6億5000万ドル相当の紙幣と硬貨が製造されている。従業員数は合計で5000人を超える。印刷工場はアメリカ国内に2ヶ所ある。

偽造を防ぐ目的で、1ドル紙幣と2ドル紙幣を除く全紙幣のデザインが00年代~10年代に刷新されている。2012年12月31日現在の連邦準備制度の統計によれば、1ドル紙幣の流通量は103億枚、100ドル紙幣は86億枚、20ドル紙幣は74億枚である。

発券銀行

紙幣を発券した銀行がどの連邦準備銀行であるかは、その紙幣に記されたアルファベット記号で判別することができる。アルファベット記号以外の部分はどの発券銀行も額面ごとにすべて同じデザインであり、また発券銀行にかかわらず同一額面ならどの紙幣も等価である。

肖像の小さい紙幣(1・2ドル紙幣と、5ドル以上かつシリーズ1994以前の紙幣)には、肖像の左にアルファベットの記載された丸い部分があり、法令上の発券銀行がこの文字で判るようになっている。

肖像の大きい紙幣(5ドル以上かつシリーズ1996以降の紙幣)では、左端のアルファベット(「B2」など)がこれに相当する。また紙幣シリアルナンバー(記番号)11桁のうち左から2桁目のアルファベットも同じことを表している。

印刷工場

紙幣の印刷はアメリカ合衆国製版印刷局が直営する工場2ヶ所で行われている。

すべてのドル紙幣には小さな字で原版番号(どの凹版原版を用いて印刷したかを表す記号番号)が2ヶ所ずつ印刷されているが、うち1ヶ所の原版番号で例えば「FWD63」のように、「FW」が付いていればフォートワース工場で印刷された紙幣(前出の画像では1・2・5・10・50ドル)である。「B57」のように「FW」が2ヶ所とも原版番号に付いていなければワシントンD.C.工場で印刷された紙幣(前出の画像では20ドルと100ドル)である。

硬貨

流通硬貨

硬貨として発行されるのは1ドル以下(セント)の通貨であり、アメリカ合衆国造幣局が製造している。

現在発行されている硬貨の金種は、

の6種類である。なお、シルバーダラーというのは1ドル銀貨の呼称で、現在の1ドル硬貨の呼称ではない。

セント硬貨については、主に25セント以下のものが多く使われており、特に公衆電話新聞などの自動販売機、パーキングメーター、バスの運賃箱、カジノ場のスロットマシン[1]、有料道路や駐車場の無人料金所などに25セント硬貨を複数枚投入するものが多いためか、とりわけ硬貨の中でも25セント硬貨の流通量が非常に多い。アメリカで生活する際は、25セント硬貨の手持ちが少ないと不便を強いられる場合が多い。

日本などのように10・50・100・500などを硬貨の区切りとする感覚からは、10セントの上の25セントは中途半端にも思えるが、10セントと25セントの組合せは、10セントと50セントの組合せよりも、多くの金額に対応可能である。

かつてはハーフセント、2セント、3セント、20セントのコインが存在した。ダイム(ハーフダイム)以上は元々銀貨であった。現在は白銅張りの銅貨に変わっているが大きさは変更されておらず、このため、5セント(ニッケル)硬貨の方が10セント(ダイム)硬貨より大きくなっている。造幣局はフィラデルフィア、デンバー、サンフランシスコにあり、硬貨表面または裏面に製造所を表すP、D、Sの鋳造刻印(ミントマーク)が打たれている物が多い。

さらに、以前ではこのほかに本位金貨として、1ドル、2.5ドル(クウォーターイーグル)、3ドル、5ドル(ハーフイーグル)、10ドル(イーグル)、20ドル(ダブルイーグル)の硬貨が流通していたほか、記念貨幣として8角形の50ドル金貨や、4ドル(試作-ステラ)等も鋳造された。また、モルガン図案やピース図案の1ドル銀貨(シルバーダラー)もマニアの間で世界的に広く知られている。現在でも、記念コインとして、5ドル金貨や1ドル銀貨が鋳造されることがあるが、これは収集型金貨や銀貨で流通用の物ではない。

本位金貨

金貨は1937年以降は金90%10%であり、1834年以降は金貨1ドルにつき23.22グレーン(1.5046g)の金が使用されている。1792年から1834年までは金貨1ドルにつき24.75グレーン(1.6038g)の金が使用されていた[2]

前述の通り現在は記念コインとして製造されている。

  • 20ドル, 33.436g (30.093g) 1849年‐1933年
  • 10ドル, 16.718g (金15.046g) 1795年‐1933年
  • 5ドル, 8.359g (金7.523g) 1795年‐1929年
  • 3ドル, 5.015g (金4.514g) 1854年‐1889年
  • 2.5ドル, 4.179g (金3.762g) 1796年‐1929年
  • 1ドル, 1.672g (金1.505g) 1849年‐1889年

1933年の20ドル金貨は759万ドル(約6億3600万円)で落札された事があり大変貴重である。

銀貨

1964年以前の銀貨は1851年から1853年の3セント銀貨を除き1837年以降はすべて銀90%銅10%である。

前述の通り現在は記念コインとして製造されている。

しかし銀貨の一部は現在でも稀に流通している事がある。

  • 1ドル, 412.5グレーン(26.7296g) (24.0566g) 1794年‐1935年、1971年‐1975年(Sミントマークのみ銀品位40%)
  • 50セント, 12.5g (銀11.25g) 1794年‐1964年、1965年‐1970年(銀品位40%)
  • 25セント, 6.25g (銀5.625g) 1796年‐1964年
  • 20セント, 5g (銀4.5g) 1875年‐1878年
  • 10セント, 2.5g (銀2.25g) 1796年‐1964年
  • 5セント, 1.24g (銀1.125g) 1794年‐1873年、5.00g (銀1.75g) 1942年‐1945年(銀品位35%)
  • 3セント, 0.8g (銀0.6g) 1851年‐1853年(銀品位75%)、1854年‐1873年(銀品位90%)

1976年の1ドル硬貨、50セント硬貨、25セント硬貨の一部は40%の銀が使用されている。

卑金属貨幣

  • 1ドル, 1971年-1999年(白銅と銅のクラッド)、2000年‐(黄銅
  • 50セント, 1971年‐(白銅と銅のクラッド)
  • 25セント, 1965年‐(白銅と銅のクラッド)
  • 10セント, 1965年‐(白銅と銅のクラッド)
  • 5セント, 1866年‐1941年、1946年‐(白銅)
  • 3セント, 1865年‐1889年(白銅)
  • 2セント, 1864年‐1873年(銅)
  • 1セント, 1793年‐1942年、1943年(亜鉛鍍金スチール)、1944年‐1982年(

        1982年‐(銅鍍金の亜鉛)

  • 1/2セント,1793年‐1857年(銅)

     

呼称

語源

ドル(ダラー)という名前は、ドイツで使われた歴史的通貨のターラー (Thaler) から来ている。ターラーは、16世紀ボヘミアザンクト・ヨアヒムスタール(現在のチェコヤーヒモフ)というの鉱山で鋳造されたヨアヒムスターラー (Joachimsthaler) という銀貨の名前が短縮されてターラーと呼ばれるようになったものである。この銀貨は大型で品位も良く、フローリン金貨と等価として扱われたので、絶対量の不足していたフローリン金貨に代わって広く流通した。この品質の高さで知られた銀貨を指すターラーという言葉が良貨の含意で一般名詞化し広まり、その後、アメリカ合衆国他各地において良貨の意味を込め自国通貨をDollarと呼ぶようになった。

口語表現

口語ではドルの代りにバック (buck) が使われることも多い。たとえば、"5 dollars"と言わずに、"5 bucks"と表現される。"buck"とは、かつてインディアンネイティブ・アメリカン)が白人と取引する際に貨幣の代わりに鹿の皮 (buck) を使ったことに由来する。

また、裏面が緑色であることからドル紙幣のことをグリーンバックス (greenbacks) というが、このバックスは「裏」のこと (back) であり、日本語訳では「緑背紙幣」と呼んでいる。2014年現在の米ドル紙幣は両面が緑色であるが、かつての緑背紙幣の慣わしから、このように呼ばれている。

他に、口語では"grand"は「1,000ドル」を意味し、たとえば「10,000ドル」を指して"ten grand"と言われる場合がある。